- Vol.1 フリースタイルに種目変更、「本気でついて来るか?」
- その生徒は高校3年、見た目で言えば不良とかヤンキーと呼ばれそう。そんな彼でしたが水泳に打ち込んでおり、願いはインターハイへの出場。もしダメなら、引退して就職するとのことでした。
- 依頼を受けたとき、大会までわずか3カ月。時間的にはかなり厳しい。コーチは1度目のレッスン前に1時間ほど話し込み、決意を確認しました。聞けば、全国大会の出場経験は無し、高校1年からタイムも更新していない。救いは水泳が好きということだけ。まずは専門種目の平泳ぎをチェックしたところ・・・。
- 「身体がひずんでいる、これではタイムは出ない」
- コーチはふとひらめいて、フリースタイル(クロール)を泳ぐように指示。6ビートは打てない、手の掻き方も間違っている。でも身体のひずみがプラスに働き、自然とギャロップ泳法ができている。バランスもいい。そこでコーチは決断しました。
- 「フリースタイルの1500Mに挑戦しよう」
- 課題はたくさんある、ついてこれるかと尋ねたら、彼は「はい、やります」と即答。結局、その日は徹底的に泳ぎ方をチェックし、掻き方やタイミングの理由を説明。わずか1日でもともとフリースタイルの選手?と思うくらい、理にかなった泳ぎが完成しました。
- 初日のレッスン終了後、コーチは1500Mの厳しさや過酷さをあらためて話しました。そしてもう一度、意思の確認。
- 「本気なら、どんな事をしてもインターハイに連れて行く。本当にフリースタイルで行きたいか?」
- 『絶対について行きます!よろしくお願いします!』
- こうして、彼の本気の挑戦が始まりました。
- Vol.2 大学へ行きたい、水泳をずっと続けたい。
- コーチは初回のレッスン終了後、毎日のようにメールを送り、課題を与えました。2回目に会ったときは、初回よりさらにいい泳ぎ方になっていました。地道に課題をこなしていたのです。
- 「これなら行ける!」
- コーチの心に確信が生まれ、それ以降は徹底した泳ぎ込み。しかしテンポは狂い、ストロークも合いません。タイムもバラついていました。水の感覚が無いだけ・・・原因はわかっていたので、コーチは慌てませんでした。
- そしてフリースタイルに転向後、初めての大会。インターハイまで残り1ヶ月半、目標タイムまであと10秒。レースの画像を確認し、アドバイスを与えるコーチ。その時でした、彼が思いもかけない言葉を発したのです。
- 「先生、大学でも水泳を続けたい」
- たとえインターハイへ出られなくても、就職して水泳を辞めたくない。コーチだけが決めきれる話ではないため、お母様に連絡しました。すると、
- 「目が毎日イキイキしており、感謝の言葉も言える子になりました。大学で続けたいなら、応援します」
- コーチと出会ってからの数か月で、彼はタイムと一緒に人間性まで成長させていたのです。
実際、大学へ進学するために、レッスンの前後に受験勉強をするほどでした。
- 『やりたいことが見つかったから、勉強します。嫌いだけど』
- 気がつけば、もうインターハイの地区予選は目の前です。入試より先に、タイムとの闘いに勝利しなくてはなりません。ただ、すでに水の感覚は身についていたので、コーチは安心していました。
- Vol.3 予選本戦後、メールが届く。目標タイムを「切れました」
- 『先生、目標タイムに1秒、届かなかった』
- まず参加したのは、インターハイの地区予選。本人は不安な顔をしましたが、コーチからしてみたら最高の結果だったとか。「切れたら油断する、切れない方が緊張感が続くからいい。切る力は、もう持っているのだから」。その言葉を聞いて、本人も力強く言い返しました。
- 『自信じゃない、切っているイメージしかありません』
- もう進路に迷っていた顔つきはどこへやら。迷いのない、キラキラ輝く目をしていました。
- さあ、インターハイ予選の本戦。待ちに待った結果が、メールでコーチの元に届きました。
- 『切れました』
- ただ、そのひと言だけ。コーチはそのメールを見た瞬間、拳を握り、涙がこぼれたそうです。
水泳のエリートであったコーチにとって、インターハイ出場は当たり前。出場自体には、特に感動もなかったと言います。けれど、自分の生徒が出場を決めた時には、心の底から感動がこみ上げて来たのです。
- 『今までの水泳のコーチや先生は、信じる気になれなかった。初めて信じられるコーチに出会いました。ありがとうございました』
- 彼は現在、大学の水泳部に所属して、さらにタイムを縮めているそうです。
これらはほんの一例です。
こうした「奇蹟」を起こせる理由は、1対1のレッスンだからです。
アクアの違い